本記事では、スマートマネーコンセプト(SMC)を利用するトレーダーの多くがトレーディングビューを愛用する理由についてまとめます。
YouTubeで海外トレーダーによるスマートマネーコンセプト関連の動画を検索すると、そのほとんどでトレーディングビューが使われています。
少し前までならMT4を使った解説もありましたが、現在はトレーディングビューに取って代わられました。その理由は一体何なのでしょうか?
なぜMT4が使われなくなってしまったのでしょうか?
筆者の経験談を交えながら詳しく解説していきます。
MT4とトレーディングビューの比較については以下の記事をご覧ください。
スマートマネーコンセプト(SMC)とは?
スマートマネーコンセプトとは、相場を動かすほどの資金力を持った市場参加者(スマートマネー)の動向を理解して、彼らと同じ方向、同じタイミングでポジションを取ることを目的とした手法です。
考案者はMichael.J.Huddlestoneという方で、現在では英語圏の裁量トレーダーから絶大な支持を受けています。
基本的にSMCでは移動平均線といったインジケーターは使用せず、自身でラインを引いたり波を分析したりする完全裁量型の手法になります。
様々な概念や専門用語があり、それらを組み合わせて相場を分析する必要があるため、取得難易度としては高い部類に属しますが、しっかりと学ぶと相場分析力が格段に上がります。
難解ながらも非常に人気が高いため、YouTube上には世界中のトレーダーが解説動画を出しています。その中で共通するのは、彼らが解説に利用するチャートソフトのほとんどがTradinViewである点です。
別にチャートソフトを変えたからと言って相場分析力や勝率が上がるわけではありません。しかし、スマートマネーコンセプトとトレーディングビューの相性が良い理由は必ずあるはずです。
それ理由について解説していきます。
尚、スマートマネーコンセプトの詳細については、私の別ブログをご覧ください。
SMCトレーダーがトレーディングビューを愛用する理由
SMCトレーダーがトレーディングビューを愛用する理由として以下の7つが挙げられます。
- オブジェクトが豊富で見やすく、描画しやすい
- オブジェクトがズレない
- オブジェクトを定型化できる
- チャートの縮尺の操作がより楽
- スマホやタブレットでも同期して同じチャートが見られる
- 検証がしやすい
- SMC関連のインジケーターが多い
それぞれについて解説します。
オブジェクトが豊富で見やすく、描画しやすい
トレーディングビューでは豊富なオブジェクトが用意されています。
シンプルなトレンドラインや水平線だけでなく、ボックス、フィボナッチなど基本的なものはしっかりと揃っていますし、手書きツールもあります。これだけオブジェクトツールがあれば「足りない」と感じることはないでしょう。
また、各オブジェクトについては外部や内部の色の変更が可能で、更には色の透明度まで指定できます。
これはMT4には無い機能で、透明度を指定することで、インジケーターやローソク足などの邪魔をしない形でオブジェクトが描画できます。
例えばMT4の場合、同じ色のボックスが重なると変な感じになりますが、トレーディングビューの場合は透明度を調整することで、視覚的に分かりやすく表示ができます。
以下がMT4とトレーディングビューで同じ色のボックスを重ねて表示した例です。
MT4の方はボックスが重なった個所が黒くなって変ですが、トレーディングビューの方では重なっている個所とそうでないところが明確に違うように表示されます。
これはラインやゾーン等のオブジェクトチャートがゴチャゴチャとなりやすいSMCトレーダーにとってはとてむ重要な機能と言えます。
また、YouTube等で他者に解説する際に、手書きツールを使うことで、より分かりやすい解説もできるようになります。
オブジェクトがズレない
MT4でオブジェクトを利用していて一番不満に感じるのは、勝手にズレることです。
例えばトレンドラインを引くと、終点が勝手にズレてしまったり、その後の値動きによっては少し場所が変わったり・・・とオブジェクトの位置がズレるのは大きなストレスです。
以下はトレンドラインがズレる例です。
トレンドラインをドラッグして、ドロップした位置にラインの終点が決まらずに、微妙にズレています。常にこうなるわけではありませんが、ラインやボックス等を頻繁に使っていると、この現象に遭遇して、非常にストレスを感じることがあります。
しかし、TradingViewでは当然ながらオブジェクトがズレることはありません。
ドロップした所にしっかりと収まってくれますし、マグネットモードにすれば、オブジェクトがローソク足に引っ付くように自動で調整もしてくれます。
オブジェクトを定型化できる
SMCでは多くのラインやボックスを利用しますが、それぞれについて意味があります。
例えば
- 15分足のオーダーブロックを示すボックス(15分足以下にのみ表示)
- 4時間足のオーダーブロックを示すボックス(4時間足以下のみに表示)
- 1分足のオーダーブロックを表示するボックス(1分足にのみ表示)
などなど。
これら様々なラインやボックスを描画していくわけですが、全て同じ色で表示していたら何が何かわからなくなります。
しかし、トレーディングビューでは、オブジェクトを定型化して、いつでも呼び出すことができます。
これを利用すれば、より簡単な操作で描きたいオブジェクトが呼び出すことができます。
チャートの縮尺の操作がより楽
MT4ではチャート表示領域を増やしたり減らしたりする場合は、メニューバーの虫眼鏡ボタンをクリックする必要があります。
しかしTradingViewではマウスのホイールを転がすだけでチャートの縮尺の変更ができます。
これが地味に便利で、簡単に縮尺が変えられるので「ちょっと広範囲の値動きが見たい時」に非常に重宝します。
特にSMCではマーケットストラクチャー(相場の構造)として過去の波からトレンド方向を把握したり、反発しやすいポイントを探る際に頻繁に過去の値動きを参照することが多いですので、この機能は重宝します。
スマホやタブレットでも同期して同じチャートが見られる
トレーディングビューでは、同じアカウントでログインしていれば、PC、スマホ、タブレットの端末の種類を選ばず全く同じチャートを見ることができます。
そのため、デスクトップ版で詳細に分析したチャートをスマホで確認できますので、スマホ用のチャートで再度ライン等を描画し直す必要はありません。
操作自体も感覚的に行えますし、スマホで書き足したオブジェクトやインジケーターについても、デスクトップ版にしっかりと同期されます。
ラインやボックスなどのオブジェクトを多用するSMCにとって、デバイスごとに描画し直す手間が無いのは本当に便利です。
検証がしやすい
トレーディングビューではリプレイ機能があり、過去の相場を動かしながら値動きを検証することができます。
これについては、MT4でもストラテジーテスターという機能が有りますが、MT4で利用する検証用のオフラインチャートは、時間足の変更が出来ません。
例えば15分足チャートを動かしていて、その時の4時間足を見たくても見ることが出来ません。(専用のインジケーターを利用して同時に複数時間軸のチャートを開いている場合は別)
一方でトレーディングビューでは検証用のチャートでも簡単に時間軸が切り替えられます。そのため、「この時の4時間足はどんな感じだったかな?」と思ったら、すぐに参照できます。
同じチャートで時間軸が切り替わるので、ボックスやライン等のオブジェクトを残したまま表示できるのも便利なポイントです。
SMC関連のインジケーターが多い
トレーディングビューを愛用する人にはSMCトレーダーが多いということで、トレーディングビューにはSMC関連のインジケーターが非常に多くあります。
マーケットストラクチャー(相場の構造)を自動で認識して、そこからオーダーブロックやFVGを表示する網羅型だけでなく、各セッションのキルゾーンを表示したり、liquidityのある価格を示すものなど、様々です。
これらSMCに関するインジケーターの多さや、それらのクオリティについては、MT4よりも上です。
まとめ
今回はSMCトレーダーがトレーディングビューを愛用する理由について、個人的な考えも交えながらまとめました。
MT4も優れたチャートソフトではありますが、2005年リリースで、バージョンアップは重ねているものの、操作性自体はほとんど変わっていないため、SMCでトレードする場合に限って言えば使い勝手が落ちるかなと思います。
もちろんMT4はMT4で非常に多くのインジケーターやEAがあります。トレード手法やスタイルに応じて使い分けると良いかなと思います。